マーガレッツホープ茶園

マーガレッツホープ茶園は、高級なダージリン紅茶をつくる茶園として知られ、その紅茶には世界中に熱心なファンがいます。ダージリンの茶園の中でも広いので、茶葉の生産量が多い茶園です。


立地

インド・ダージリン地区において、白蘭の地と呼ばれるクルセオン・ノース地域に位置します。

敷地は585ヘクタール、標高(※1)は950~1830mです。標高が高く気温が低い茶園なので、マーガレッツホープの茶葉は他の標高が低いダージリン茶園に比べて遅い時期に摘み取られ始めます。

この茶園には美しい小川が2つあり、マーガレッツホープの茶葉の味はこの川からの水とミネラルで作られていると言われています。

茶園の中にあるバンガローのティーバルコニーからの景色は、茶畑の丘が美しく、ここで出来たてのダージリンを飲むのは最高の贅沢です。



歴史

マーガレッツホープ茶園は1830年代に設立されましたが、商業的に動き始めたのは1864年からです。当時はバラリントン(BaraRingtong)として知られていました。

オーナーのイギリス人バグドン氏(クルクシャンク氏との説もある)の娘、マーガレットがこの茶園の周囲の絵画のような風景をとても気に入り、『またここに戻る』と望んだものの、帰りの船で熱帯病を発病してしまい、13才で亡くなりました。そのため、バグドン氏は娘を思って、茶園の名前を1927年にマーガレッツホープ(マーガレットの希望)と変更しました。

2020年現在、マーガレッツホープは有名茶園を多数所有するグッドリックグループが所有しています。

 


紅茶の特徴

マーガレッツホープの紅茶は、新鮮で爽やかな香り、ブーケに例えられる繊細なフローラルフレーバーで知られています。

ファーストフラッシュ(※2)が欧米では有名です。セカンドフラッシュ(※3)もマスカテルフレーバーで世界的に有名であり、これはフローラルさに加えてリンゴやブドウ、柑橘を思わせる香りもあります。全体的に、渋みが美しく長く続くバランスの取れた味わいで、ほんのりとした甘みもあります。

マーガレッツホープでは主に中国種(※4)の茶樹が栽培されていますが、20%ほどはアッサム種も栽培されているので、マーガレッツホープの紅茶の水色(すいしょく)はダージリンとしてはやや暗めのオレンジになることが多いです。どちらの種も、クローナル種(※5)の茶樹が主に栽培されています。FSSC22000認定(ISO22000を補強する食品安全マネジメントシステムの国際規格)とレインフォレスト・アライアンス認定を持っている茶園です。


注釈

※1:紅茶の性質において栽培地の標高は重要な要素であり、一般的に標高が高いほど独特の味や香りが生まれます。ダージリンはインドの紅茶の中でも高い標高で栽培される茶葉として知られています。一方、標高が低くなると、一般的には大味な紅茶になります。

※2:紅茶は収穫した時期によって香りや味が大きく異なります。ダージリンのファーストフラッシュは春摘みとも呼ばれ、一般的に淡い水色(すいしょく)と軽やかな風味を持ちます。

※3:夏摘みとも呼ばれます。上質なダージリンセカンドフラッシュは、マスカテルフレーバー(マスカットを思わせる香り)を持つことで有名です。

※4:茶樹は大きく分けると中国種とアッサム種の2つがあります。この2つを交配したものをハイブリッド種といい、ハイブリッドの中でも中国種の形質が強く出ているものを中国交配種、アッサム種の形質が強く出ているものをアッサム交配種と呼びます。

※5:選抜した品種の茶樹を挿し木で増やしたものをクローナル種といいます。挿し木は遺伝的に完全なクローンが得られるため、均一な品質の茶葉を生産しやすくなります。

 

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