マンガラン茶園(マンガラム茶園)
マンガラン茶園(マンガラム茶園)は、まだ若い茶園ながら、生産する紅茶は高品質であり、卓越した評価で知られています。
立地
インド北東・アッサム州のシブサガール地区、ミャンマーの国境に近いナガランド山麓に位置します。国道が近くにあり、駅も離れていないため、アクセスが良い地域です。
標高(※1)500m以下の、茶園としては低標高な地域で、118ヘクタールの面積があります
降雨量が多く(年間2,500〜3,000mm)、モンスーンの影響による雨季の間には1日あたり300mmの大雨が降ることもあり、気温は時に40℃に達します。
極端な湿度と暑さが、アッサムティーに特有の麦芽のような甘いテイストを作るとされています。茶樹の栽培に適した肥沃な土壌です。
歴史
1973年にマンガラン茶園として設立されたため、他の茶園と比べるとかなり新しいです。最新の設備と現代の栽培技術を利用することで、高品質の茶葉を高収量で生産しています。
名前の由来はヒンディー語の『mangalam』(神聖な、演技の良い)という言葉からです。
茶畑は歩道と道路で効率よく区画分けされており、車で移動しながらすべての茶畑を監督することが出来ます。
2020年現在、インドの有名茶園を複数持つジェイシュリーティーと言う会社が所有しています。
紅茶の特徴
キャラメルの香り、麦芽のような甘い香り、豊潤でコクが深い(フルボティ)味わいで知られています。ナツメグなどを思わせるスパイシーな要素もあるとされます。ミルクと相性がいいです。
セカンドフラッシュ(※2)はゴールデンチップス(※3)を豊富に含み、メープルシロップ、レーズン、ココアの要素があると評されます。
全体的に飲みごたえがある紅茶で、甘さを感じますが渋みも残る味わいです。
マンガランの紅茶に限らず、アッサムティー全般に言えることではありますが、強い味わいでカフェインも多いため、欧米ではブレックファストティーとして朝食に合わせられることが多いです。
マンガラン茶園ではアッサム交配種(※4)が栽培されており、現代的な製法で作られたCTC(※5)の茶葉と、オーソドックス製法で作られたリーフの茶葉の両方が作られています。
アッサムティーはドイツで愛されていますが、マンガラン茶園の紅茶は特にオーソドックス製法のものがドイツに多く輸入されています。ドイツのバイヤーもマンガラム茶園に定期的に訪れています。
他の茶園と比較して、茶樹を密に植栽しているのも特徴です。マンガラン茶園は、シブサガール地区で1ヘクタールあたり茶葉の最高収量を記録したことから、ティーボード(インド茶業局)から賞を授与されています。
注釈
※1:紅茶の性質において栽培地の標高は重要な要素であり、一般的に標高が高いほど独特の味や香りが生まれます。アッサムはインドの紅茶の中でも低い標高で栽培される茶葉として知られています。一般的には、標高が低くなると大味な紅茶になるとされていますが、アッサムティーは温暖な気候も相まって濃厚で力強い味わいの元となります。
※2:紅茶は収穫した時期によって香りや味が大きく異なります。セカンドフラッシュは夏摘みとも呼ばれ、アッサムティーでは一番の旬の紅茶です。ファーストフラッシュもあり、こちらは春摘みと呼ばれます。
※3:ゴールデンチップスを多く含む紅茶は、一般的に上質なものとされます。紅茶は茶樹の枝の先端にある芯とその下2枚の葉まで(これを一芯二葉と呼びます)を摘み取って作ることが多いですが、先端にある一番小さな葉が新芽(芯芽)です。新芽は産毛により銀灰色に見えるため、シルバーチップスと呼ばれますが、茶汁が付着して着色して見えることもあるため、ゴールデンチップスと呼ばれることもあります。
※4:茶樹は大きく分けてアッサム種と中国種があります。2つをかけ合わせたものをハイブリッド種と呼び、ハイブリッド種の中でもアッサム種の形質が強いものをアッサム交配種と呼びます。中国種の性質が強いハイブリッド種は中国交配種です。
※5:Crush(潰す)、Tear(引き裂く)、Curl(丸める)の頭文字をとって作られた言葉です。収穫した茶葉を専用の機械で潰して引き裂き、丸めて作る紅茶になります。味が濃く出ますが、香りはオーソドックス製法のほうが出やすいです。