チャムラジ茶園
チャムラジ茶園は、プレミアム品質の紅茶を生産することで知られている人気茶園です。ニルギリを代表する茶園でもあります。
立地
インド南部タルミナードゥ州の山岳地に位置します。標高(※1)は1980~2430mほど、面積は1500ヘクタールほどです。
夏はモンスーンの影響で多く雨が降りますが、冬はやはりモンスーンの影響で乾いた風が吹き、とても寒くなる土地です。厳しい環境がニルギリの繊細な香りを生みます。
近くにある姉妹茶園にコクランダ茶園があります。
歴史
1922年に茶園として設立されました。オーソドックス製法(※2)の紅茶を生産するために栽培技術を磨いてきた歴史を持ちます。
この土地は、避暑地として拓かれたのが始まりなので景色が良く、空気がさわやかで静かです。欧米では旅行先としても人気がでています。
2020年現在、ユナイテッドニルギリティーエステート(UNTE)という会社がチャムラジ茶園を所有しています。
紅茶の特徴
柑橘系の香りがほのかにする軽やかでまろやかな紅茶であり、花のような香りも感じられます。バランスの取れた風味でほどよい渋みがあり、ブラックベリーの要素を感じる人もいます。全体的にさっぱりして飲みやすい紅茶です。
チャムラジ農園は安定した品質の紅茶を生産することで知られます。クローナル種(※3)の栽培が主で、オーソドックス製法で作られるリーフの茶葉を生産しています。
レモンとの相性がいい紅茶ですが、欧米ではスパイスとともにブレンドされ、煮出してミルクをたっぷり加えるマサラチャイに使われることも多いです。
ストレートにしても、ミルクティーにしてもおいしく、オールマイティーな紅茶です。
チャムラジ茶園に限らず、ニルギリの旬(クオリティーシーズン)(※4)は8月と1月(セカンドフラッシュとフロストティー)で、特に1月に上質な茶葉が摘まれます。冬に摘まれる茶葉はウィンターティーとも言われます。
チャムラジ茶園の茶葉は、米国ラスベガスで開催されたWorld Tea Expoで、紅茶部門のベストティー賞を受賞しています(2008年)。2012年のロンドンオリンピックでもチャムラジ茶園の紅茶が配られています。
チャムラジ茶園の紅茶の1つであるチャムラジデライトは、世界中の1,500社の7,482製品の中で、英国の「The Great TasteAwards2012」を受賞しています。この賞は、食品業界のオスカー賞またはブッカー賞に相当します。
この茶園は、レインフォレスト・アライアンス、フェアトレードの認定を受けています。
注釈
※1:紅茶の性質において栽培地の標高は重要な要素であり、一般的に標高が高いほど独特の味や香りが生まれます。ニルギリはインドの紅茶の中では高い標高で栽培される紅茶です。一般的には、標高が低くなると大味な紅茶になるとされています。※2:茶葉の形が残るように作る紅茶を指します。摘み取った茶葉をしおれさせてからよく揉み、ふるい分けてから酸化発酵させた後、乾燥させて仕上げたものです。現代的手法で作られる茶葉には、収穫した茶葉を専用の機械で潰して引き裂き、丸めて作る紅茶のCTCがあります。
※3:選抜した品種の茶樹を挿し木で増やしたものをクローナル種といいます。挿し木は遺伝的に完全なクローンが得られるため、均一な品質の茶葉を生産しやすくなります。
※4:紅茶は収穫した時期によって香りや味が大きく異なります。セカンドフラッシュは夏摘みとも呼ばれます。ニルギリの一番の旬はフロストティーですが、紅茶の産地によってはセカンドフラッシュの方が尊ばれます。