グレンデール茶園
ニルギリの紅茶で最高の茶園の1つであり、栽培規模もかなり大きいところです。伝統的な紅茶も、特別に選ばれた茶樹から少量ずつ茶葉を摘んで作られるスペシャリティーティーも高く評価されています。
立地
インド南部のタミルナードゥ州クーヌール地区の山岳地帯、クーノアという町の近くに位置します。標高1650~2120m(※1)、面積517ヘクタール(茶樹の栽培に使用しているのは465ヘクタールほど)です。
この茶園のバンガローから見えるブルーマウンテン(ニルギリは『青い山』の意味をもつ)が印象的です。
真夏のモンスーンはときに洪水をもたらすほどの雨を降らせますが、それ以外の季節では寒さ、乾燥、霧などが揃ったこの土地特有の気象条件があり、これらがニルギリの紅茶の花のような香りを作ります。
ニルギリ登山鉄道が茶園内を走っていて、この鉄道は世界遺産としても有名です。
歴史
茶園として成立した時期には諸説ありますが、2022年現在、茶園として拓かれてから80年以上が過ぎているのは確かです。
1835年からこの土地で茶葉を摘み取っていますが、茶樹の植樹は1860年に開始されました。茶園の近くに作られることの多い製茶工場は1902年に出来ています。
グレンデールの名前の由来は、アイルランドやスコットランド、ウェールズなどで話されていたゲール語の『GleannDail』(Glenは丘の谷、daleは通常の谷を意味する)を英語化したものです。
茶園の運営には大量の労働者を必要としますが、グレンデール茶園は女性従業員を重視して雇用していることが特徴です。
紅茶の特徴
落ち着いた花の香りと柔らかでフルーティーな風味で知られます。グレープに例えられる風味もある、まろやかでなめらかな味わいのすっきりした紅茶です。青りんごのさわやかな味わいがあると評する人もいます。渋みは控えめで、甘みも感じられます。
グレンデール茶園で栽培されている大部分がクローナル種(※2)で、このクローナル種は最高品質の茶葉を作る茶樹を母樹にしています。また、グレンデール・セレクトの名前で希少な紅茶も販売されています。
グレンデール茶園に限らず、ニルギリの紅茶の旬(クオリティーシーズン)(※3)は8月と1月で、それぞれセカンドフラッシュとフロストティーと呼ばれます。特に1月に上質な茶葉が摘まれており、冬に摘まれる茶葉はウィンターティーとも言われます。
茶樹にはいろいろな種類がありますが、グレンデール茶園にはアッサム交配種(※4)が植えられていることが知られています。
この茶園は国際的規格であるISO 9001:2008、ISO 22000:2005、Rainforest Alliance&Ethical Trade Partnership(ETP)の認証を取得しています。
注釈
※1:紅茶の性質において栽培地の標高は重要な要素であり、一般的に標高が高いほど独特の味や香りが生まれます。ニルギリはインドの紅茶の中では高い標高で栽培される紅茶です。一般的には、標高が低くなると大味な紅茶になるとされています。
※2:選抜した品種の茶樹を挿し木で増やしたものをクローナル種といいます。挿し木は遺伝的に完全なクローンが得られるため、均一な品質の茶葉を生産しやすくなります。
※3:紅茶は収穫した時期によって香りや味が大きく異なります。セカンドフラッシュは夏摘みとも呼ばれます。ニルギリの一番の旬はフロストティーですが、紅茶の産地によってはセカンドフラッシュの方が尊ばれます。
※4:茶樹は大きく分けてアッサム種と中国種があります。の2つを交配したものをハイブリッド種といい、ハイブリッドの中でもアッサム種の形質が強く出ているものをアッサム交配種、中国種の形質が強く出ているものを中国交配種と呼びます。