キャッスルトン茶園
キャッスルトン茶園は、高級な紅茶をつくるダージリンの産地として世界的に有名で、日本では特によく知られている茶園です。
立地
インド・ダージリンの南部、クルセオン(クルソン)とパンカバリの山の斜面にあり、標高(※1)980〜2,300mで170ヘクタールの茶園です。
標高、土壌、日照量、霧の深さ、露が茶の栽培に最適で、世界中で需要のある紅茶を育てています。
歴史
1885年にイギリス人のチャールズ・グラハム博士によって拓かれ、1984年にグッドリックグループという会社が引き継いで現在(2020年)に至ります。キャッスルトンはグッドリックグループが持つ茶園の中で最も有名です。
この茶園の元の名前はクムセリ(Kumseri)でしたが、近くに城のような「バンクガー」という建物があり、その建物からキャッスルトンと呼ばれるようになりました。
グッドリックグループが選んだ、特に優秀な人間がこの茶園のマネージャーとなり、上質な紅茶を厳しい管理のもと作っています。
実際に、キャッスルトンの技術の高さは茶園・製茶工場ともダージリンの最高峰で、数多くの国際的認証も得ています。
カルカッタ・オークションセンターにおいて、キャッスルトンの紅茶は、茶葉の世界記録価格を数多く達成し、1989年から4年連続でオークション世界最高値を獲得しています。
キャッスルトンの紅茶はお茶の愛好家だけでなく、イギリスや中東などの王族に愛されています。
紅茶の特徴
キャッスルトンの紅茶は、ダージリンの皇帝と呼ばれます。バラ、スミレ、スズランのような香りと独特のムスクを思わせる強い香りが特徴で、花のような香気となめらかな口当たりを持ちます。マスカットを思わせる甘いマスカテルフレーバーは、夏の甘いワインとも評されます。
ファーストフラッシュ(※2)とセカンドフラッシュ(※3)が世界的に有名で、ファーストフラッシュは柑橘や香草を思わせる香りがあります。セカンドフラッシュは果実のような甘い香りが増します。
キャッスルトンで栽培している茶樹は、主に中国種(※4)のクローナル種(※5)です。
キャッスルトンは茶園としてISO9000 / HACCP / ISO22000品質システム認証を取得しています。また、FSSC22000(ISO22000を補強する食品安全マネジメントシステムの国際規格)認定とレインフォレスト・アライアンス認定があります。
注釈
※1:紅茶の性質において栽培地の標高は重要な要素であり、一般的に標高が高いほど独特の味や香りが生まれます。ダージリンはインドの紅茶の中でも高い標高で栽培される茶葉として知られています。一方、標高が低くなると、一般的には大味な紅茶になります。
※2:紅茶は収穫した時期によって香りや味が大きく異なります。ダージリンのファーストフラッシュは春摘みとも呼ばれ、一般的に淡い水色(すいしょく)と軽やかな風味を持ちます。
※3:夏摘みとも呼ばれます。上質なダージリンセカンドフラッシュは、マスカテルフレーバー(マスカットを思わせる香り)を持つことで有名です。
※4:茶樹は大きく分けると中国種とアッサム種の2つがあります。この2つを交配したものをハイブリッド種といい、ハイブリッドの中でも中国種の形質が強く出ているものを中国交配種、アッサム種の形質が強く出ているものをアッサム交配種と呼びます。
※5:選抜した品種の茶樹を挿し木で増やしたものをクローナル種といいます。挿し木は遺伝的に完全なクローンが得られるため、均一な品質の茶葉を生産しやすくなります。