メレン茶園
メレン茶園は、インドのアッサム州で最も古く、歴史ある茶園の1つです。欧米でも日本でも人気の茶園です。
立地
インド北東・アッサム州ジョルハート地区に位置します。500m以下の低標高(※1)で、846ヘクタールの面積です。
アッサム州を流れるメレン川の両脇に茶園が広がっていて、このメレン川がメレン茶園の名前の由来です。
豊かな自然に恵まれた土地であり、茶園の設立初期のこの土地は、トラ、ヒョウ、ゾウが生息する野生の土地でした。現在でも、世界遺産の自然保護区であり、テナガザルの一種を保護しているホロンガパー・ギボン地区に隣接しています。
モンスーンなどの影響で降雨量が多く、温暖で湿気が多い気候が、アッサムティー独特のふくよかな味わいを作り出しています。
歴史
J. E. Jood氏により1852年設立されました。茶園として出来た当初は野生動物が多く、危険な土地だったとされています。有名茶園を複数持つジェイシュリーティーという会社が、現在(2020年時点)のメレン茶園を所有しています。
紅茶の特徴
心地よいモルティーフレーバー(麦芽を思わせる甘い香り)と、力強くスパイシーな味わいで知られている紅茶です。なめらかで重層的な飲み心地を持つ、濃厚で力強い紅茶(フルボディ)ですが、甘みがあり、苦味や渋味は控えめで後味がよいです。
セカンドフラッシュ(※2)は蜂蜜のような香りも感じられ、チョコレートやカカオの要素があると評されることもあります。ミルクに合う紅茶ですが、ストレートもおいしいです。ファーストフラッシュ(※3)からはバラの香りが感じられると言う人もいます。
メレン茶園の紅茶は、力強い味わいとカフェインの多さから、明るく活発な紅茶で朝食にふさわしいとされることが多く、ブレンドのベースとしてもよく使われています。茶葉は、ヨーロッパではドイツの紅茶ブランドでよく使われることで知られており、このブランドの紅茶は日本でも購入できます。
オーソドックス製法によるリーフの紅茶と、現代的製法であるCTC(小さく丸くコロコロした茶葉)(※4)の紅茶の両方がメレン茶園では作られています。メレン茶園で栽培された紅茶では、クローナル種(※5)の茶葉が特に評価が高いです。
インドでお茶の輸出・栽培・加工・国内貿易を促進するために作られた組織であるティーボード(インド茶業局)において、メレン茶園の紅茶は多くの権威ある賞を受賞しています。また、国際標準化機構による品質保証のISO22000の認定を受けている茶園です。
注釈
※1:紅茶の性質において栽培地の標高は重要な要素であり、一般的に標高が高いほど独特の味や香りが生まれます。アッサムはインドの紅茶の中でも低い標高で栽培される茶葉として知られています。一般的には、標高が低くなると大味な紅茶になるとされていますが、アッサムティーは温暖な気候も相まって濃厚で力強い味わいの元となります。
※2:紅茶は収穫した時期によって香りや味が大きく異なります。セカンドフラッシュは夏摘みとも呼ばれ、アッサムティーでは一番の旬の紅茶です。
※3:春摘みとも呼ばれます。
※4:Crush(潰す)、Tear(引き裂く)、Curl(丸める)の頭文字をとって作られた言葉です。収穫した茶葉を専用の機械で潰して引き裂き、丸めて作る紅茶になります。味が濃く出ますが、香りはオーソドックス製法のほうが出やすいです。
※5:選抜した品種の茶樹を挿し木で増やしたものをクローナル種といいます。挿し木は遺伝的に完全なクローンが得られるため、均一な品質の茶葉を生産しやすくなります。